薄毛の治療をするためには、内服薬や外用薬を使います。
薄毛の悩みば解決する一方で、副作用という望ましくない症状を引き起こすことがあります。
副作用の中には、まれに重篤になるケースも。
どのような副作用があるかを知っていないと、自分の症状が治療薬によるものなの分からず、服用を続けてさらなる悪影響を受けてしまいます。
そこで今回は、薄毛治療薬として有名な
- パントガール
- スピロノラクトン
- 注入治療(メソセラピー)
- ミノキシジル
以上の4つの薬の効用と副作用を説明していきます。
代表的な治療薬は4種類
女性に使う薄毛治療の内服薬はパントガール、スピロノラクトン、注入治療(メソセラピー)が使われ、外用薬はミノキシジルが使われます。
ミノキシジルは、日本で認可されているのは外用薬のみで、内服薬は認可を受けていません。しかし近年は、内服薬を取り扱うクリニックも増えています。
- 抜け毛予防
パントガール
スピロノラクト - 発毛効果
ミノキシジル - 脱毛予防&発毛効果
注入治療(メソセラピー)
パントガールは「びまん性脱毛症」に効果を発揮
ドイツの製薬会社により開発され、世界で初めて女性の薄毛に効果が認められた薄毛治療薬です。
この治療薬は主にパントテン酸カルシウムやケラチン、シスチンといった栄養素を含み、頭皮に栄養を行き渡らせて頭皮環境を整え薄毛を改善していく効果があります。
パントガールは臨床試験も行われており、女性の薄毛に多く見られる「びまん性脱毛症」に有効であるとされています。
パントガールは副作用が軽微

パントガールはフィナステリドやデュタステリドなどの医薬品と違い、ケラチンやアミノ酸などの栄養素を主成分としたサプリメントに近い薬であるため、大きな副作用は報告されていません。
副作用が現れるとしたら、頭痛やめまいなど通常の薬と同じ症状です。
安全性は高く、長期的に服用することも可能です。
パントガールに含まれる成分に対し、アレルギー(過敏症)の経験がある方は注意
もし服用すると、アナフィラキシー・ショックなどを起こす恐れがあります。
アレルギーの経験がある方は、必ず医師にお伝えください。
ビタミンを摂りすぎると過剰症を起こす恐れがありますが、パントガールに含まれるビタミンは水溶性です。
過剰摂取しても尿から排出されるため、過剰症の心配はほとんどありません。
- パントガールを飲み忘れた場合
-
パントガールを飲み忘れた場合は、その分はそのまま抜く。次回からはいつも通りに服用。
- 男性がパントガールを服用する場合
-
パントガールは、男性も服用することができます。
ただしパントガールは、女性のびまん性脱毛症を治療するためにつくられた治療薬です。男性のAGAに対する治療効果は期待できません。
- 体毛が濃くなるのか?
-
髪の毛の成長を促す育毛剤です。しかし体毛には影響を与えないため、ムダ毛が濃くなるようなことはありません。
- 異常を感じたら内服を中止して医師と相談
-
- 蕁麻疹 発疹 等 の皮膚のかゆみ
- 下痢・吐き気・嘔吐・胸やけ・腹痛・鼓腸などが胃腸系症状
- 頻脈・心拍数の増加・動悸
- 頭痛や目眩(めまい)、発汗
スピロノラクトンは抜け毛を防ぐ薬

スピロノラクトンは、抜け毛の原因となるジヒドロテストステロン(DHT)が毛包や毛母細胞に働きかけるのを阻害することで、抜け毛を防止します。
スピロノラクトンは、抜け毛を防ぐだけでなく、乱れたヘアサイクルを改善させ、健康な髪の毛を生成するのに大切な成長期を長くする効果や、毛髪を新しく生成する効果があります。
- 毛髪を新しく生成しやすくする
- 乱れたヘアサイクルを改善させる
- 健康な髪の毛を生成するのに大切な成長期を長くする
スピロノラクトンは本来、高血圧や心不全の方への降圧剤として使用される利尿薬です。
尿を排出することで体内の水分量を減らし、体内の血液量が減るため血圧を下げる効果があるなど、薄毛治療以外にも様々な治療に用いられています。
スピロノラクトンの副作用
- 女性型乳房
- 乳房痛・腫れ
- 陰萎
- 多毛
- 月経不順
- 無月経
- 閉経後に性器出血
- 声が低音化
- 発疹
- 蕁麻疹
- かゆみ
- 食欲不振
- 吐き気
- 口渇
- 下痢
- 便秘
- けん怠感
- 動悸
- 発熱
血圧の降圧剤の作用もあるため、もともと高血圧ではない方が服用すると低血圧になってしまうことがあります。
そのため、ふらつきや目まいなどを引き起こす場合があることから、運転する際や高所での作業をする際には服用に気を付ける必要があります。
重大な副作用
- 電解質異常(高カリウム血症、低ナトリウム血症、代謝性アシドーシス等)
- 急性腎不全
- 中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群
上記の異常が認められた場合には、確認された異常によっては医師の判断で薬の量を調整する必要や、経過観察をしないといけません。
併用してはいけない薬もあるため、現在服用中の治療薬がある場合、FAGA治療を受ける際には以下の二つの点を医師に伝えた上で処方を受けましょう。
- どういった薬を
- どのような目的で服用しているか
医師の判断にによって、他の薬を使用することになるか、中止になる場合もあります。
スピロノラクトンは降圧作用や性ホルモンへの干渉など、服用する際には注意が必要な治療薬であり、禁忌(使用してはいけない)が下記の通り定められています。
- 無尿又は急性腎不全の方
- 高カリウム血症の方
- アジソン病の方
- タクロリムス、エプレレノン又はミトタンを投与中の方
- 過敏症の既往歴(アレルギー)のある方
注入治療(メソセラピー)の効果
注入治療(メソセラピー)とは、薄毛・抜け毛治療に有効な成分を頭皮に直接注入して発毛効果を期待する治療法のことです。
薄毛の治療は内服薬や外用薬といった薬での治療がメインに行われています。注入治療(メソセラピー)は、内服薬と併用することで効果実感までの期間を短縮することが期待できます。
また、人体に害のない成分を注入するのも特徴。
持病や体質が原因で投薬治療が受けられない方にも有効で、内服薬と比べて少ない副作用で効果を期待できる治療法です。
注入治療(メソセラピー)が選ばれる理由として、内服薬と外用薬には以下のようなデメリットがあるためです。
内服薬、外用薬のみによる治療のデメリット
- 効果が現れるまで最低でも半年~1年ほどかかる
- 特定の持病があると服用できない薬がある
- フィナステリドやデュタステリドを服用できない女性に薬の選択肢が少ない
発毛を実感できるまでの時間の短縮はメソセラピーの大きな特徴であり、様々な医療機関でそのようなデータが公表されています。
注入治療(メソセラピー)は、注射器を用いる以外にも薬を注入する方法もあります。
具体的な治療法は主に次の5種類です。
施術の名称 | 注入する方法 | 特徴 |
---|---|---|
パピューレ法 ナパージュ法 | 注射器 | 若干の痛みを伴うが高い成分浸透力がある |
ダーマローラー方 | 極細針のついたローラー | 痛みや出血は注射器を使う施術ほどはない |
ノーニードル方 | ・電気刺激(パルス) ・炭酸ガス | 痛みはほとんどないが、成分の浸透力では劣る |
フラクショナルレーザー法 | レーザー照射 | 痛みはほとんどないが、施術費用が高額になる |
以前は注射器を使用する施術方法が一般的でしたが、痛みを伴う点や医師に高い技術力が求められる点から、現在では注射器を使用しない方法が広く浸透しています。
注入治療(メソセラピー)はチクッとするけど、副作用が少ない治療法

注入治療(メソセラピー)は比較的副作用が少ない治療方法とされています。
成長因子や栄養素として注入される成分は、身体にとって害のない成分であり拒絶反応やアレルギー反応が起きづらいという特徴があるためです。
副作用としては治療後に頭皮の痛みや痒み、発疹などの皮膚症状、また頭部の腫れや赤み、術後の一時的な痛みや内出血が確認されたケースもあります。
しかしどれも軽度なものであり、重篤な副作用は認められていません。
例外として、内服薬での治療と同様の成分を注入する場合には、フィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルと同様の副作用を発症する可能性があります。
注入治療に際しては副作用を事前に確認することが大切です。
ミノキシジルの効果

薄毛の原因はさまざまですが、ほとんどの薄毛においてミノキシジル内服を中心とした治療で毛髪を増やしていくことが可能です。
ミノキシジルは、毛細血管を広げて血液の流れをスムーズにすることで、ヘアサイクル(毛周期)を延長させる働きを持っています。
外用薬の塗るタイプのミノキシジル(リアップなど)もありますが、それでは吸収率も悪く、ほとんど効果が得られないのが実情です。
内服ミノキシジルは男女の薄毛の両方に効果を発揮します。処方された薬を飲むだけですので、治療が簡単というのも人気の一つと言えるでしょう。
- ヘアサイクルの乱れを整える
- 毛母細胞を活性化する
- 血行を促進する
ミノキシジルの副作用
循環器系に持病のある方はミノキシジル使用時に注意が必要です。
ミノキシジルは血圧を下げるための薬でもあるので、低血圧の方が使用すると必要以上に血圧が下がる可能性があります。
高血圧で他の降圧剤を処方されている方も同様です。医師の処方のもと使用するようにしましょう。
その他の副作用は以下の通りです。
こちらも医師の指示のもと、用法容量を守るようにしましょう。
治療法 | 副作用 |
---|---|
内服薬 | 初期脱毛 動悸 息切れ 頭痛 めまい 手足や顔のむくみ 多毛症 肝機能障害 不整脈 心疾患 など |
外用薬 | 初期脱毛 発疹 発赤 かゆみ かぶれ ふけ 使用部位の熱感 頭痛 めまい むくみ など |
薬の入手方法
今回紹介した薬の種類は、薄毛の治療薬として一般的に知られており、脱毛症の状態やタイプ、健康状態などに合わせて処方されます。
内服薬は市販では購入することはできずクリニックでの処方のみとなっています。
薄毛の改善のために内服薬や外服薬を使いたいと思ったら専門のクリニックで相談するようにしましょう。
髪の悩みは家族や友人などにも相談しにくいですし、クリニックに行くのにも恥ずかしい思いをしてしまうからと、勇気を出せずに治療に踏み切れない方も少なくありません。
個人輸入であれば通販のような感覚で利用できて、誰とも顔を合わせずに購入することができますが、医薬品を服用する際には少なからずリスクは存在します。
個人輸入サイトは販売方法が法的に問題のあるサイトも多いですし、そこで購入したとしても送られてくる薬が本物であるかどうかわかりません。
近年、とくに偽造薬品が世界的に問題になっています。ニセモノは効果が無いだけならまだしも重篤な副作用を起こすこともあり得るので注意が必要です。
そういった危険を避けるためにもクリニックで処方された薬を使用することが推奨されます。
まずは治療薬が利用できるのかどうかをクリニックで判断するために、医師に相談をするところから始めてみましょう。
問診を行い現状の頭皮環境や食生活などをチェックし、状態を把握できるように努めます。
診察や問診により、薬を処方して治療を問題なくできるのかどうかを見極めます。
問題なければ処方を受けて服用を続け、頭皮の状態を確認しながら希望する状態まで髪の毛が生えるように、医師と二人三脚で治療を進めることになります。
適切かつ安全に治療を行うためにも、クリニックで診察
を受けて治療薬を処方してもらうようにしましょう。