- 歳とともに髪が細くなってきた
- 抜け毛の量が増えてきた
- 頭頂部や分け目が薄くなってきた
いつまでも若さを失いたくない女性にとって『薄毛』は深刻な悩みです。
女性はおしゃれなウィッグやエクステに馴染みがあるので、ウィッグをつけることに男性ほど抵抗感がありません。
薄毛が気になったらとりあえずおしゃれなウィッグで隠そうと考え、髪を増やすのをあきらめてしまう人もいるでしょう。
実際に女性用のウィッグはインターネット通販でも隠れたヒット商品になっています。
当然ながら、ウィッグでは髪が増えないので髪に対する悩みが解消したとは言えません。
その他にも、頭皮をマッサージしたり発毛サロンに通ったりする人も多くいますが、医療機関を選んで相談にうかがう人はまだまだ少ないのが現状です。


医療機関に頼るのを迷ってる間に進行する薄毛
使うシャンプーを変えたり、毎日の食生活を見直すなどの対策をしても、医療機関にたどり着く女性は多くありません。
最初の敷居が高いと思われますが、医療機関で治療を受ければ薄毛の悩みは解決できます。
日が早ければ早いほど、解決までの期間は短くなります。受診を迷ったり、躊躇しているうちにも薄毛はどんどん進行するからです。
薄毛の治療の考え方は、「虫歯」になった時と同じです。
虫歯になって歯が痛くなったら、一刻も早く「歯医者さん」に行って治療を受けるのが最良の解決策です。
虫歯で歯が痛いのに・・
- 歯ブラシを変える
- 歯磨きペーストを変える
- 食生活を見直して甘いものを控える
これらは日常のケアであって虫歯は治りません。
薄毛も同じで、シャンプーを変えたり、育毛剤を使うのは日常のケアであって薄毛の悩みは解決しません。
解決するためには歯医者さんと同じで、深刻な症状になる前に一刻も早く医療機関に足を運ぶことです。
薄毛治療は何歳から始めても「手遅れ」にならない
薄毛治療は一刻も早く始めることがベストですが、何歳から始めても手遅れということはありません。
女性の場合、薄毛治療に難しさはあるものの効果が出やすいのも事実です。
男性の薄毛は頭がツルツルの状態になってしまうこともあり治療が難しくなりますが、女性はそこまでの状態になることはありません。
女性の薄毛で最も多いのは、全体の毛量が減って髪が薄くなるびまん性脱毛症です。
びまん性脱毛症の一番の原因は、年齢や妊娠・出産によるホルモンバランスの変化です。
薄毛と深い結びつきのあるホルモンは、40代から更年期にかけて急速に減少します。
そして、残念ながら加齢が発端となって起こるびまん性脱毛症は自然に回復することはありません。
医療機関で受ける薄毛治療と効果
薄毛とはヘアサイクル(毛周期)が崩れたことで抜け毛が増え、軟毛化した髪が増えたりすることです。
頭皮の血流を良くし、しっかり栄養を与えて働かせ、ヘアサイクル(毛周期)を正常に戻すのが「治療」です。
髪が育つために必要なことを「医療」として実現しているわけです。
以下、薄毛に対するアタックを3つ紹介します。
- 外用薬・内服薬による治療
- 注射による細胞成長因子の注入
- サプリメントによる栄養補給
1・外用薬・内服薬による治療
外用薬としては「ミノキシジル」が医学的に有効であると証明されています。
ミノキシジルには薄毛部位に直接塗布する外用薬と、1日1回服用する内服薬(ミノキシジルタブレット)があります。
日本で認可されているのは外用薬のみで、内服薬は認可を受けていません。しかし近年は、内服薬を取り扱うクリニックも増えています。
内服薬は発毛効果を実感する方が多い一方で、外用薬とは異なる副作用も報告されています。
予期せぬ健康被害を防ぐためにも、内服薬の処方を受ける際は医師の説明をしっかりと聞き、用法用量を守って正しく服用してください。
- 内服薬の副作用
-
内服薬は体内に直接薬剤を取り入れるため、動悸やめまいなどの副作用を起こす可能性があります
- 外服薬の副作用
-
頭皮に直接塗布する外用薬は、発疹やかゆみなどの頭皮トラブルが生じる可能性があります
副作用自体の発生頻度は全体的に低く、厚生労働省から報告されているデータによるとミノキシジル5%含有外用薬において、副作用発現率は「3,072例中271例 (8.82%)、 378件」とされています。
また、長期投与の場合でも重篤な副作用はほとんどないと報告されています。
副作用による取り組み
- 受診毎の体調・頭皮トラブルチェック
受診時には体調不良の有無や、副作用・頭皮トラブルが発生していないか等、発毛経過だけでなく体調面の確認。 - 血圧測定の実施
ミノキシジル含有内服薬には血管拡張作用があるため、ミノキシジル含有内服薬を処方されている方には血圧測定を実施。 - 血液検査と経過観察
AGA・薄毛治療は治療期間が長期に及ぶため、定期的に血液検査を実施して健康状態の経過観察を行う。 - 副作用発生後の対応
体調不良・副作用が発生した場合には、すぐに連絡。医師が副作用の症状や程度を判断し、薬の変更・調整・休薬を行う。もしも薄毛治療以外で専門医による症状の確認が必要な場合は、紹介状の発行。
ミノキシジルの有効性
外服薬のミノキシジル液は頭皮にかける薬であり、髪の成長を促進し「びまん性脱毛症」や「FAGA(女性男性型脱毛症)」の進行を抑制する薄毛・脱毛症の治療薬です。
巷にはさまざまな育毛ローションやトニックなどがありますが、医学的根拠があり厚生労働省によって有効性が認められているのはミノキシジルだけです。
ミノキシジル液には毛包に直接作用し、KGF(細胞成長因子)の産生を促進することで休止期の毛包を活性化、成長期に移行させ、成長期を維持する作用があります。
それにより新しい毛の発毛を促進してくれます。


毛母細胞成長因子
別名(ヒトオリゴペプチド-5、FGF-7)は、毛根部分(毛乳頭)でも産生されている成長因子です。
ヘアサイクルの成長期に関与し、発毛を担当する「毛母細胞」を活性化させる働きを持っています。
加齢その他の原因により、自身でのKGF産生が難しくなると毛母細胞が働かなくなり、発毛不全、薄毛・抜け毛に至ります。
ミノキシジルの使用に適しているのは、FAGA(女性男性型脱毛症)や慢性休止期脱毛症を含むびまん性脱毛症など、ほぼすべての女性の脱毛症です。


効果については個人差がありますが、使用開始4ヶ月後から有効性が認められています。
抜け毛の本数が減ってきたり、うぶ毛や軟毛が多く見られるようになったりするのが効果の始まりです。
また、ミノキシジル外用薬は「細胞成長因子の注入」や内服薬との併用によって、さらに効果がアップします。
ミノキシジル外用薬は、専門クリニックでの検査や医師の診断がなければ入手できません。
「ミノキシジル誘導体」に薄毛への効果はありません
- 副作用もないけど薄毛への効果もなし
- 医学的に発毛の根拠がない
- 薄毛のケア用品であって薄毛の治療にはならない
ミノキシジルに名前を似せた「ミノキシジル誘導体」を配合した育毛剤が安く販売されていますが、薄毛への効果はないので注意が必要です。
2・注射による細胞成長因子の注入
日本における女性の薄毛治療は海外より遅れているのが実情ですが、最先端の治療のひとつが細胞成長因子の注入です。
この細胞成長因子の中にはKGF(細胞成長因子)やIGF-1(インスリン様成長因子)は以下の三つの働きがあります。
- 髪の成長期を持続させる
- 毛包の細胞を増殖させる
- 毛管を太くする
IGF-1の詳細
IGF-1は「インスリン様成長因子」と呼ばれ、インスリンによく似た化学構造をもつ成長ホルモンの一種です。
毛髪は毛周期というサイクルにそって、伸びたり抜けたりを繰り返しており、成長期→退行期→休止期の流れをずっと繰り返しているのです。
成長期は毛髪が太く長く成長する時期、退行期から休止期は毛髪の成長が止まって抜けていく時期となります。
IGF-1は成長期の期間を長くすることで、毛髪が成長しやすい環境を整えます。
薄毛の方の髪の毛がなぜ少なくなっていくのかというと、成長期の期間が著しく短くなってしまうためです。
毛髪がしっかりと成長してくべき時期をあっという間に通り越して退行期や休止期に入ってしまうので、毛髪がしっかりと成長しきれません。
IGF-1によって成長期が長くなれば、髪の毛が太く長くなるために成長できる期間も長くなるということです。
一方で、TGF-β1といった成長期を終わらせて脱毛を促進させてしまうタンパク質も、細胞成長因子の中に含まれています。
TGF-βは、トランスフォーミング増殖因子ベータと呼ばれています。
TGF-βは、毛乳頭や毛母細胞の活動を抑制する因子として知られており、その作用が高まると髪の毛は成長期から退行期に移行すると判明しています。
脱毛を起こす指令はさまざまな原因で発生し、髪の毛に伝達されます。
髪の毛の成長に最も悪影響を与えると考えられているTGF-βという脱毛因子へ指令が伝達されると、その後、TGF-βからFGF-5(髪の毛が抜けるように命令するタンパク)に伝達されます。
細胞成長因子の中には発毛因子(IGF-1)と脱毛因子(TGF-β)が混在している、車に例えるとアクセルとブレーキを同時に踏んでいる状態です。
髪は発毛因子と脱毛因子のバランスで成り立っており、このバランスが整っていれば発毛と抜け毛のサイクルが正常に働きます。
細胞成長因子の注入は、このブレーキ(脱毛因子)を弱め、発毛と抜け毛のサイクルを正常な状態にするのが狙いです。




治療薬にはフィナステリド(プロペシア)やデュタステリド(サガーロ)があります。
フィナステリドは5αリダクターゼII型を阻害、デュタステリドは5αリダクターゼI型とII型を阻害する薬です。
5αリダクターゼを阻害することで、下記の《STEP4》脱毛因子(TGF-β)の生成を防ぎます。
脱毛因子「 TGF-β」によって脱毛する仕組み
具体的には以下のようなメカニズムにより、脱毛が起こります。
フィナステリドは5αリダクターゼII型を阻害、デュタステリドは5αリダクターゼI型とII型を阻害
ジヒドロテストステロン(DHT)は、テストステロンと5αリダクターゼという酵素が結びつくことで生成される男性ホルモン
フィナステリド(プロペシア)もデュタステリド(サガーロ)も薄毛や抜け毛の原因を取り除くだけで、発毛効果はありません。
その先の発毛力を狙うのであればさらに別の薬を併用することになります。
女性がフィナステリド・デュタステリドを服用すると危険
フィナステリド(プロペシア)やデュタステリド(サガーロ)は男性ホルモンに作用して薄毛を改善する治療薬です。
女性はもともと体内の男性ホルモンがあまり多くないため、服用することでホルモンバランスが乱れる恐れがあります。
ホルモンバランスの乱れは頭痛や吐き気などのさまざまな不調のきっかけとなるだけでなく、さらなる薄毛や抜け毛を引き起こす可能性もあります。そのため、女性がフィナステリド(プロペシア)やデュタステリド(サガーロ)を服用することは身体に悪影響を及ぼします。
女性が使用できる治療薬
女性が使用できる治療薬
- パントガール
- スピロノラクトン
- 注入治療(メソセラピー)
- ミノキシジル
パントガール
パントガールは髪の成長に必要な栄養素を含み、育毛を促す女性専用の薄毛治療薬です。
女性の薄毛に有効な医薬品として世界ではじめて認可を受け、びまん性脱毛症やFAGA(女性男性型脱毛症)の治療に用いられます。
ミノキシジルのような発毛効果はありませんが、ビタミンB1やパントテン酸カルシウム、ケラチンを主成分とすることから育毛サプリメントに近い役割を担います。
また、重大な副作用も報告されていないので長期的な服用にも最適です。
スピロノラクトン
スピロノラクトンはもともと、心不全や高血圧症の治療に使われてきた薬です。
多毛の副作用があることから近年は薄毛治療に転用されるようになりました。男女どちらの薄毛にも有効ですが、男性ホルモンに作用する薬であるため女性には低容量タイプを処方することが多いです。
注入治療(メソセラピー)
注入治療(メソセラピー)は、髪の成長因子を頭皮に直接注射する治療法です。
注入治療には飲み薬や塗り薬の効果を補助し、発毛するまでの期間を短縮させる効果が期待できます。治療期間は半年〜1年ほどで、3〜4週間に1度のペースで受けるのが一般的です。
薄毛治療薬は持病や体質、性別を理由に服用できないことがありますが、副作用の少ない注入治療ではその心配がありません。
発毛はミノキシジル(内服薬)で補う
治療では、既に紹介したパントガール、スピロノラクトン、注入治療(メソセラピー)によって成り立っています。
両者は薬理作用が異なるため併用することが可能で、相乗作用によって「薄毛予防」と「発毛」までを狙いやすくなります。
ミノキシジルはもともと「降圧剤(血圧を下げる薬)」として開発されたもので、血管を広げて血流を良くすることで循環器系の疾患に対応しようというものでした。
開発の過程で発毛作用も発見され、薄毛のための薬として別方向で開発が進んだという経緯になります。
ミノキシジル単体では内部的な薄毛メカニズムを抑制できないため不十分と言わざるを得ませんが、パントガール、スピロノラクトン、注入治療(メソセラピー)で薄毛メカニズムを遮断し、そのうえで「ミノキシジル」の血管拡張作用を取り込めば、薄毛予防だけでなく血流が改善されて発毛までも期待しやすくなります。
3・サプリメントによる栄養補給
薄毛につながる栄養不足には以下の二種類のケースです。
- 食事の摂取量が少なく全体的に栄養が不足しているケース
- 食事内容の偏りによって特定の栄養素が不足しているケース
食事量が足りていないケースとは、ダイエットなどによる過度な食事制限です。
一方、食事内容の偏りというのは、コンビニ食やジャンクフード、加工食品などを中心に食べることで起こる、ビタミンや鉄、亜鉛、たんぱく質などの不足をいいます。
日頃の食生活で髪を育てるのに十分なほど栄養摂取をするのは難しい面があります。
食事から摂る栄養は身体のすべてのエネルギー代謝に必要で、基礎代謝の方に優先的に使われます。そのため充分に摂らないと髪にまで行き渡りません。
食事の栄養だけでは現状の髪を維持することしかできず、それだけで栄養を使い切ってしまうのでサプリメントを活用して栄養を補給することが大切です。
- ビタミンB1
- パントテン酸カルシウム(ビタミンB5)
- ケラチン
- L-シスチン
- 乾燥酵母
- 葉酸
- 大豆イソフラボン
- 亜鉛
ビタミンB1
不足すると細胞の活動のためのエネルギー生産が滞ります。髪は身体の中で最も細胞分裂が活発でエネルギーを消費するので十分なビタミンB1が必要です。
パントテン酸カルシウム(ビタミンB5)
パントテン酸カルシウムは、肌や髪を作るたんぱく質を合成するビタミンCの働きをサポートします。不足すると肌や髪の潤いや弾力がなくなり、コラーゲンなどのタンパク質の生成に悪影響を及ぼします。
ケラチン
髪を構成し髪の元となる、つまり髪の成長には絶対に必要なタンパク質。
L-シスチン
L-シスチンに含まれるイオウは、皮膚、髪、爪をつくる非常に丈夫なたんぱく質の成分となり皮膚を強くし、髪や爪を健康に保ちます。
L-シスチンが不足すると、皮膚炎やシミの原因となるほか、爪がもろくなる、髪が抜ける、デトックスの低下などにつながります。
乾燥酵母(ビール酵母)
毛髪の成長に最も大切な組織が毛乳頭と毛母細胞です。毛母細胞が効率よくケラチンやL-シスチンなどのタンパク質とアミノ酸を使って細胞分裂を繰り返すことによって髪が成長していきます。


細胞分裂の際に必要になるのが豊富なミネラルです。
乾燥酵母(ビール酵母)に含まれる栄養素で最も多いのはアミノ酸ですが、最大の特徴はリン、カリウム、銅などの微量元素(ミネラル)が含まれていること。
ビール酵母事体、直接育毛の効果はありませんが細胞分裂の補助をする役割を担っています。
葉酸
細胞分裂に欠かせないビタミンの一種。毛母細胞が活発に細胞分裂を繰り返し、髪が成長するには葉酸が欠かせません。
大豆イソフラボン
大豆イソフラボンは「5αリダクターゼ」の働きを抑制するため、薄毛予防の効果が期待できます。
大豆イソフラボンは、髪が継続して成長するために最も重要な女性ホルモン「エストロゲン」と分子構造が類似しており、似た働きをします。
ヘアサイクル(毛周期)を正常に保つために大切なIGF-1という細胞成長因子の分泌を促し、髪の成長に効果を発揮します。
亜鉛
FAGA(女性男性型脱毛症)の原因物質とされるDHTの産生に関わる5-αリダクターゼを抑制する効果があると言われています。
亜鉛は微量ミネラルの中で欠乏しやすい栄養素です。
- ダイエット中の人
- 成長期の子ども
- 高齢者
- お酒を飲む人
亜鉛は食事で十分摂取するのが難しいためサプリメンとの利用は効果的です。
以上に紹介した8つの栄養は食事でも摂取できますが、すべてのエネルギー代謝に必要なものなので、髪より先に基礎代謝の方に使われます。
そのため、十分に摂取しないと髪にまで行きわたりません。
サプリメントで栄養を補給することで、ヘアサイクル(毛周期)を正常に戻し、髪が産毛からしっかりとした髪への成長も期待できます。
通常は細胞成長因子の注入などの治療と並行して行うのが理想的ですが、年齢が若い場合や、髪自体は健康ながら元々ボリュームが少ない場合はサプリだけでも変化が見られるケースも多いです。
「一人の試行錯誤」より専門家への相談
薄毛メカニズムとそれを抑制するパントガール、スピロノラクトン、注入治療(メソセラピー)の作用、そしてその上で発毛を促す血管拡張作用を備えたミノキシジルの効果、サプリメントによる栄養の重要性を記載しました。
「餅は餅屋」という諺にあるように薄毛の悩みは、専門家に解決策を委ねることが最も賢明な判断です。
通常のクリニックは、随時「無料カウンセリング」を実施していますので、単純に「客観的な意見が聞きたい」という場合や「トータル治療費の概要」、あるいは「無駄のないソリューションが欲しい」という場合は気軽に相談から始めてみるのも一案です。